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個性が作るもの [音楽]

 

6月です。相変わらず忙しい。ネタはあるのに暇がない。うーん。しばらく堪えよう。 

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ヴィルヘルム・ステーンハマル/ピアノ協奏曲第2番op.23

 

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第1楽章 序章
第2楽章 スケルツォ
第3楽章 アダージオ
第4楽章 フィナーレ

ステーンハマルには2曲のピアノ協奏曲があるが、第1番は後期ロマン派の影響を受けた多くの作曲家がそうであったようにブラームス的なインスピレーションが曲の流れ全体を支配していた。
この第2番はスウェーデンを代表する作曲家がその円熟期において友人であったシベリウスやニールセンの意見に耳を傾け、新ドイツ楽派から離れ、ナショナリティを意識した作風に移ってきた、その充実した時期の作品であり、独自の個性の煌めきを見せる。
ヒューゴ・アルヴェーン(一連の弦楽四重奏曲は見事)やフランツ・ベルワルド(ドラキュラ伯爵みたいな風貌でボクは曲よりその肖像画が気になっていた)以降もっとも重要なスウェーデン人作曲家だと思っている。
ピアノ協奏曲第2番とはなっているが序奏を含む4楽章はアタッカで接続され、第1楽章から貫かれるテーマのバリエーションが幻想風のシンフォニー的構造を持っており、ピアノはこれにに対峙するのではなく、構成する楽器の一部としての響きの近似値を深く意識している。
第1楽章から音楽は奇妙に縫い合わされた古びた人形が新しい服を着ているようなある種の情念を感じさせつつ、内部に虞の根源のようなものを抱いていて、妙に惹きつけられる。
大泣きした後に収まらぬ哀しみをしゃくり上げるように不意に現れる愁いを含んだ旋律はとても美しい。
そのアダージオはアタッカでフィナーレに繋がり、テーマは微妙に姿を変えて決然とドアを開いた音の奔流から立ち上がるピアノの強奏とオーケストラの混沌の中で、金管の総奏の上に舞い降りて終止符を打つ。
ボクは初めて聴いたとき、切れ切れの旋律の固まりにまとまりを欠いた印象を持っていたけれど、一度音楽を聴き通してから、テーマの関連を探して行く上で作品をある程度俯瞰することができるようになって愚かにもようやくこの曲の魅力に気が付いた。
個性的である。
力のある作曲家の興が乗った作品であり、数百を数えるコンチェルトの中でも容易に個性から区別化できる類の作品である。

YouTube では残念ながらアタッカ部分で切り離すものだから第3、第4楽章の有機的な連続性が断ち切られるのだけれど、只なんだから文句は言えないね。
第3楽章を

 

 

 



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  • 出版社/メーカー: Hyperion UK
  • 発売日: 2009/11/10
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コメント 2

kontenten

偶然ですが・・・先日
ネーメ・ヤルヴィ指揮、エーテボリ交響楽団演奏の
交響曲第1番・第2番を買って来ました(^^)
ただ・・・難しいので、また復習?復讐?します。
 そうそう、吉松隆さんの作品集
ファゴット協奏曲、プレイアデス舞曲集は良かったです。
by kontenten (2012-06-01 12:00) 

Mineosaurus

ステンハマルの第2番は完成度が高いですね。ネーメ・ヤルヴィが扱っていますか。なるほど。
by Mineosaurus (2012-06-01 20:47) 

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