唯一のフーガに [音楽]
ブラームス/ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ OP.24
ヘンデルのクラヴィーア組曲第2巻(HWV434)no第1曲「エア」から主題をとっているが、ブラームスは装飾音を一部変更しAirではなく、Ariaとしている。
後に25の性格変奏が続く。
ベースは変ロ長調。
28歳時の作曲だけれど、完成度は稀類ない。
たしかピアノ曲としては唯一のフーガではないか。
対位法のおばけのような作品で、技術的にはパガニーニ変奏曲ほどではないにしろ、整った形式の中にブラームスのロマンティシズムが横溢していて舞曲的な自由さを抑えることなく、バロック音楽が新鮮な驚きを持って蘇る。
変奏曲部分だけでもバッハやベートーヴェン、シューマンの傑作に引けをとるものではない。
輝くばかりのオリジナリティに溢れる。
短調部分の変奏は後の燻銀の小品を想起させる。
舞曲的なにユアンスからふとシューマネスクな色彩も見せる。これほどの音の多彩さがみっちりと敷き詰められた対位法の中で熱を帯びてくる。
フーガはまるでかっちりと固められたドアの鍵穴から噴出するように自由な広がりを求めて展開する。
技巧的にもどうなんだろうね。
かなり高そうだね。
リズムの単調な部分では重音がかかり、オクターブ奏法だろうね、立て続けに趨る。
こういう曲は最初の1音から最後の1音まで設計してゆくタイプでなければ弾きづらいのではないか。
例えばアファナシェフとか、リヒテルとかゲルバーも決して感覚的な演奏家ではなくて、このアナログのスクラッチノイズが入った演奏は結構いい。
ゼルキンがレーガーとカップリングさせたCDも確か持ってたなあ。どこいったんだろ。
昔、ボクの娘達がフリスビーの代わりに幼稚園の芋畑で空に飛ばしたCDの中に確かあったなあ…この時の経緯はOne's Boyhood story-34に書いた。
描いたときは思い出さなかったけど、あの時傷だらけになったCDの中に確かあったのでした。
ゲルバーの演奏は変奏部分とフーガを分けていない。全曲です。ただ、フォルテで音がびびる。
アナログの哀しさだね。
Variations & Fugue on a Theme By Haendel Op. 24/Pi
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