心象派 [音楽]
ファニー・メンデルスゾーン/一年(Das Jahr)
1841年に完成したファニー・メンデルスゾーン-ヘンゼルの12の性格的小品。(実際にはエピローグがついているので全曲は13曲と言うことになり、全部聴くと50分近くかかる。)
ボクの手許にはラウマ スクリデのCDがある。
この曲を1月から12月まで詳しく書くつもりはなくて、何度か全曲を通して聴いてみて感じたのは性格的小品と名付けているけど、12ヶ月のカレンダー的な印象風景ではなく、その点ではリストや、フランス印象派のやり方とは違う。
もっと直截的で簡潔である。
残念ながらボクは現代のドイツの5月と11月しか知らない。
それぞれの月にどのような印象が載せられるのかわからない。
12月という細かな分け方はアイデアだけれど、『四季』のようには明確ではない。
また、チャイコフスキーのようにそれぞれの性格をイメージするタイトルが与えられているのでもない。
彼女はそれがよく判っていて12月の月それぞれの印象ではなく、それぞれの月の経験や心の有り様を彼女自身が心象として創り上げているようだ。
「これが私の12ヶ月」
うーむ。なるほどと思うしかなかったね。
でも、ピアノ小品としての音楽は大変ロマンティックで上品なものでした。そしてそれだけではなく、ファニーの作曲家としての才能はどうも女流という枠には収まっていないようです。
1月にはショパンのプレリュードを思わせる和音が打ち鳴らされ、2月には左手にメトネルの旋律が寄り添う。
1月 夢、2月 スケルツォ、3月 アジタート イメージを固定するものはないけれど、とても印象的な歌。4月 カプリッチオ等々タイトル的なものが付いたりもしている。
ただ、小品とは言え、無言歌のようなものもあるにはあるけれど、それぞれがかっちりした和声的構成を持っていてソナタがいくつか出来そうだと思えるような作り方である。
決してこれは余技でできるようなものではなくて堂々とした作品である。
弱々しく感じる軽さがなくて、むしろ弟の才能を霞ませるような作りである。古典的な楽想から無言歌のようなオリジナリティのあるものまでしっかりした構成の中に組み込まれていて、繰り返して聴くに堪える演奏を準備される視覚のある作品。
で、ボクの聴いているCDだけれど、音は奇麗だけれど、全体のバランスをとりすぎている嫌いがあって最初は取っつきにくかった。でも不思議なもので何度か聴いていると音楽というのは次第に演奏者が気にならなくなってくる。
YouTubeではロシア人ピアニストがラフマニノフ・ホールで年代物のピアノを弾いて全曲をライブで聴かせる。
選択の余地はないけれど、十分練り上げた上で弾き込んでいる。
チャイコフスキーのように響く部分もあるけれど、これはこれで音楽自体の持つ力がよく判る。
で、その全曲盤を。
長いよー51分だって。エピローグはコラール。短くてロマンティック。
1. January. A Dream: Adagio Quasi Una Fant,-Attacca |
2. February: Scherzo |
3. March: Agitato |
4. April: Capriccioso |
5. May: Spring Song |
6. June: Ser |
7. July: Ser |
8. August: Allegro |
9. September: On The River |
10. October: Allegro Con Spirituoso |
11. November: Mesto |
12. December: Allegro Molto |
13. Postlude: Choral |
申し訳ありません、皆勤でしたが今日の動画はあとでゆっくり鑑賞させてください。いつも訪問有難うございます。
by 404 (2013-02-17 22:17)