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置いてあったもの [音楽]

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レスピーギ/弦楽四重奏曲ニ長調 1907

第1楽章 アレグロ モデラート
第2楽章 主題と変奏
第3楽章 間奏曲
第4楽章 フィナーレ:アレグロ ヴィヴァーチェ

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アンサンブルの美しさ、と親和性。
理屈っぽくなりがちな弦楽四重奏曲がこれほど精緻に書かれながらなお、自由であり、明朗な抒情性に満ちているものをボクはあまり聴かない。
ベートーヴェン以降、その影に捉えられた作曲家達と聴衆は何かを忘れてしまっていたのかも知れない。
音楽が楽器をよりしろとして歌い始める。
約束事のない歌のようでいながら、そこには古典的な約束事を拡大解釈する近代性を持っている。
全ての作品を聴いてみたい。
そんな気持ちにさせる作曲家である。
第1楽章 最初の1音がいい。
ニ長調特有の明朗性が主題の終わりまで突き抜ける。
理屈ッぽいところにアンサンブルを引きずることなく、この辺がイタリアーノか、無類の歌の形の良さに聴き惚れる。
弦楽四重奏曲はもともとこうだったのかも知れない。
進化の過程でとんでもない化け物が16曲の作品を作り出したものだから、それ以後の全てが、多かれ少なかれ、その意思的な音楽に引きずられた。
そこで置き去りにされたものが、埃を払われてもう一度弦楽の上を滑ってゆく。
独奏ヴァイオリンのカンタービレをヴィオラがユニゾンで追いかけ、同じ道を辿りながら高低の幅と楽器間の特質を感じさせつつ静謐の中に瞑想的なチェロが浮き上がる。見事。
第2楽章この人の重奏はオーケストラでもこういった弦楽でも同じようにシンフォニックである。
対位する各楽器の歌は融合することなどまるで意に介さないように個々のパートを目一杯磨く。
主題から各変奏の中に収まった素晴らしい独白達。仄暗いパトスの中にも歌は途切れることなく、暖かい血のように感覚の管を巡る。
第2楽章はとりわけ素晴らしい。
古風な入り方だけれど、第3楽章のインテルメッツォはスケルツォ的に扱われている。
この楽章まで歌がある。
弦楽四重奏曲でなくてもいいのでは?と思うこともあったけれど、それはボク自身がボンの巨匠の作品に引きずられている一人であるから出てくる思いなのかも知れない。
中間部の単純なテーマから広がる旋律の美しさと深さ。
古典的な背骨の頑丈さが音楽の背後に堂々と座り込んで動かない。
第4楽章もいいね。ヴォーン・ウィリアムスの作品や北欧のステンハマルのような清新な抒情を感じさせる。
4つの楽器相互の均衡と重奏と独奏の綾が作り出す緊張がとても程よく配置されていて、飽きない。
素晴らしい音楽。でもひとつ、全てを聴いた気になれないのは何故だろうか?
作曲家の個性か、こちらの思い込み過度な期待か、それともボクの弦楽四重奏曲に対する先入観か。


どの楽章も一様に素晴らしいけれど、個々では第2楽章のナチュラルな変化を聴いて下され。

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