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フェリックスの作品35 [音楽]

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フェリックス・メンデルスゾーン/6つの前奏曲とフーガ作品35から第1番ホ短調

1.前奏曲 アレグロ コン フォーコ
2.フーガ アンダンテ エスプレッシーヴォ

FM.jpg  メンデルスゾーンのピアノ曲はあれだけの優れた曲を集めている無言歌にして評価があまり高くない。
作品54の変奏曲が突出して完成度が高いのではなく、他にも沢山素晴らしい音楽はある。
とにかくこの人の才能は指揮者としても優れていたが、その天才はロマン派の時代に生まれたモーツァルトといってもいい。
ただ、この人の初期の音楽にはバッハへの敬意に満ちていて、そこに自分の霊感の出るところを感じている。
モーツァルトのような特別な天衣無縫はミューズには許されなかったのか生真面目さが何処か作品の中に潜んでいる。
この6曲の前奏曲とフーガは形はバッハに敬意を評するものになっているけれど、特に前奏曲には彼がロマン派の時代に生きた証のような音楽が並ぶ。
最も良く演奏されるのは無言歌風の旋律が美しい第5番あたりだろうけど、この第1番もなかなかに美しい。
左右両手に振り分けた分散和音が広く波のようにうねる。
その上をどこか姉のファニー・ヘンゼルの音楽に似た抒情的な旋律が中間部に浮き上がり、美しくやがて燃え上がって行く。
この辺はバッハの前奏曲からかなり離れたところから聞こえる音楽ですな。
そしてフーガ。聴いていると4声で構成されているようで、主題はまずバスに顕れ、ゆったりと各声部に受け渡される。
後半はエスプレッシーヴォ表情豊かに加速し、華々しく、主情的な音楽が花開くが、終結部のコラールは作品37のオルガンのための作品のように豊麗。
下降する旋律の中から薄い空気の粟粒が浮かぶようにフーガの主題が再現される。
その一瞬の音楽は素晴らしい。

音楽はYouTubeでもかなりのピアニストのものが聴ける。
その中で1975年3月にロンドンのロイヤルフェス.での一連のコンサートの中から選ばれたルドルフ・ゼルキンの演奏を。
ロマンティックに上手く纏まったスタジオ録音は沢山ありましたが、この演奏は気持ちの流れで多少の引っかかりはありますが音楽が生々しい。
あまりにも旋律的なプレリュードは音楽そのものに身を任せつつサラリと流れて行きます。彼のウェイトはその後のフーガに置かれていますが、バランスの取れたとても実直な演奏です。

 

 

 



 

メンデルスゾーン:6つの前奏曲とフーガ Op. 35 /3つのカプリス Op. 37

メンデルスゾーン:6つの前奏曲とフーガ Op. 35 /3つのカプリス Op. 37

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Naxos
  • 発売日: 1995/05/01
  • メディア: CD






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