簡明と純粋 [音楽]
ギヨーム・ルクー/ピアノのための3つの小品1892年
第1曲 無言歌
第2曲 忘れられたワルツ
第3曲 喜びの舞踏
無言歌のほつほつと呟くような旋律がまとう寂寥。
最初の1音を弾き出したとき、その音の芯にある解けかかったペルソナが次の指先に伝わってゆく。
彼の音楽は心から穏やかに揮発してゆくような感覚で生み出されたのではなさそうで、晴れやかに聞こえてもそこに「何故切ないのか」という自問が貼り付いている。
忘れられたワルツは、そこから和らいでゆく痛みにそっと呼吸を深めてゆくような優しい旋律がステップを踏む。
時折思い出すように第1曲の旋律が浮かぶ。
次第に舞曲の気品を取り込むように大きく円を描きながら息の切れる寸前まで円かな気分が続く。
喜びの舞踏は彼の音楽の中でおそらく最も活き活きした気分を反映している。
思い出しながら、口元に笑みが浮かんでいるのを気づかずに。
とても即興的な雰囲気を持っています。
言葉はシンプルでそれが雰囲気にとても合っている。
彼のポートレートは少ないですが、明かりを付けない土壁の部屋から窓の外からさし込んでくる薄明の日射しを瞬きせずに見上げているようなこの絵が好きです。
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