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ソナタのお茶漬け [音楽]

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ローベルト・フォルクマン


                             ピアノ・ソナタハ短調作品12

ドイツロマン主義の完熟の時。

今さらながらに彼がピアノ・ソナタの分野で新境地を切り開くような余地はなかったに違いない。
ピアノ三重奏曲第2番の成功の余勢を駆ってウイーンに乗り出す1年前に作曲されている。
ピアノソナタはこの作品ただ一曲のみ。
ただ、そこにはリストのような破天荒でデモーニッシュなテクニックの上に異質でありながら典型として屹立する偉容があるわけではない。
ブラームスの晦渋とも思える重ね着のロマンティシズムに涼しい顔をして付いて行く厚顔があるわけでもない。
シューマンの物狂おしさと心の嵐が寂寥と同居した一瞬の哀切があるわけでもない。
彼のピアノ・ソナタのスタイルはわずか14分程度の作品を律儀に4楽章で構成し、迷った風でもなく、メンデルスゾーンが意識したベートーヴェンが深い内省を覗かせるような闇もない。
それでも何故かこの人の作品は、憑かれたような真摯さに満ちている。
第1楽章 モデラート・カンタービレ
メンデルスゾーン。
それもお姉さんのファニー・ヘンゼルのような華奢を隣で酔っぱらったショパンが口説いているような…
一途なロマンティシズムに完徹されている。
意外と好きだなあ。こういうの。

第2楽章 プレスティッシモ 変イ長調
スケルツオ的に置かれてはいるが舞踏的な規則性よりもエチュードを聴いているような潔癖感がある。

第3楽章 アンダンテ・ペザンテ
座り直したように、狭いけれど深く届いてくる。
だけど、このソナタの核になるような求心力は感じられない。演奏は少なくても、頑張っているんだけど。

最終楽章のアレグロ・モルト。
一気呵成。こういう一直線はかなり力業だけれど、技術的なバランスがよくて聴き惚れる数瞬がある。
最近、一度聴いて記事にしようと思ったものはあまりない。
二度三度と聞いている間に聞こえてこなかったものが聞こえてくる。
それがボクの耳から頭の何処かに重なって音楽がリアルな厚みをもって響くことに繋がる。
でもこの曲は一度聴いたきりである。
まだ、もう少し時間をかけた方が自分の言葉になるかと思うけれど、とてもわかりやすい音楽だから、あんまり印象が変化することもないかなとも思っている。

14分程度の曲だけど、第1楽章だけでも聴いてみる?

 






Piano Music

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Hungaroton
  • 発売日: 2005/09/05
  • メディア: CD

 





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