こころのお休み [音楽]
知らないうちにはまり込んでいた感覚の淵。
何かを探りに行くために大きく息を吸い込んで止める。
すべてを深遠に届くために研ぎ澄まし、息の続く限り潜ってゆく。
深遠の闇わだに鈍く光っている真珠に指が触れた瞬間に
息が続かなくなって心を残しながら水面を目指す。
そんな聴き方をすることが最近多くなっていたようだ。
ある日、
音学になりかけ、それを聴くためにすり減らした感覚が、ふと浮かんだ旋律で解ける。
振り返るとずいぶん遠くまで来すぎたのかなと…
そんな思いがよぎる。
ノスタルジックでセンチメンタルであることを全身から燐分のように撒き散らしながら
弦楽セレナーデが胸に染み入る。
何度も聴いた旋律が、そのたびに逓減する感覚のアンテナの本数を感じつつ、ついに何年も聴く事のなかった
音楽が乾ききった喉に染み込んでくるように耳に馴染む。
構えていた心が解ける。
モーツァルトで何度か味わった感覚が、思いもかけず、
この弦楽アンサンブルの第1曲目で蘇る。
何なんだろうね、音楽って。
作品から受けた印象を表現することに言葉を吟味して、それを読んだとき出来れば聴いたときと同じ感覚をとどめたいと思う。
そんなことが必要な音楽も、こんなあけっぴろげで人間臭い音楽も
同じ耳から等しく胸を衝く。
きれいです。
ドヴォルザーク/弦楽セレナードホ長調op.22
第1曲 モデラート
第2曲 テンポ ディ ヴァルス
第3曲 スケルツォ:ヴィヴァーチェ
第4曲 ラルゲット
第5曲 フィナーレ:アレグロ ヴィヴァーチェ
Dvorak: Serenade for Strings, String Sextet
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Membran
- 発売日: 2003/03/25
- メディア: CD
Dvorak Suk-Serenade for Strings-Grieg: Holberg Sui
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Eloquence Australia
- 発売日: 2010/03/16
- メディア: CD