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ホグワーツの竜王 [仕事の雑記帳]

ドラコレックス・ホグワーツィア


Drakorex03.jpg

ハリーポッターシリーズももう終わりに近い。
この恐竜は石頭恐竜のパキケファロサウルスの近縁で、パキやんのような分厚い石頭ではないが、頭部の厳つい竜のようなとげとげはよく似ている。
米国北部サウスダコタ州の白亜紀後期の地層からアマチュアの化石ハンターが発見した。
種小名はハリーポッターの通うホグワーツ魔法学校にちなんでいる。
ファンだったんだろうかね。
この『堅頭竜』と言われる種類はいくつか描いていて紹介したけれど、ボクはコイツが好きです。
見かけは中世の伝説の竜そっくり、しかし収斂進化はオオツノヒツジに見られる。
この恐竜は3メートルほどの体長で見かけほどの大きさはない。

Drakorex.jpg

そして、草食であったことは口の構造からも明らかだ。
頭部の夥しい角や棘は装飾的でもあり、防御のための鎧であったのかも知れない。
角だらけの頭と鼻面の化石はほぼ完全な形で保存されている。
眼窩の奧の目はヒツジの目を参考にした。


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どっちが正しい? [仕事の雑記帳]

復活!まだキーボードの認識がおかしくて、いくらやってもGyao!の無料動画がエラーで見えない(履歴の削除やら、エクスプローラーの再インストールにSilver・lightの再インストールとか、対応策として書かれていることはほとんどやったけれどダメだねえ。でも、他は問題ないみたいだな。


えー、
この夏のことだけど、アマルガサウルスの手持ちの画像でいちばん新しいもののリクエストを受けた。
イギリスの博物館だっけか。
ボクは忘れていたけれど、以前にも注文があった博物館らしく、担当者のメールが2006年頃のボックスに残っていた。
「初めまして」などという挨拶文を書かなくてよかったとホッとしております。
いい加減なボクの性格がトラブルにならなくてよかった。
最初に渡した画像はこれ。

Amarugasaur-a.jpg



この恐竜の特徴である頸椎から伸びた棘骨が皮膜に覆われている描き方でした。
これはいろいろ言われていてこっちの方が生き物として自然なのではないか、また体温調節を行う上で合理的ではないかとの意見もあり、ボクは最近こちらを主として想像図の中に組み入れていました。
でも、リクエストは画像の修正であり、以前ボクが描いた画像のようにトゲを露出したものにしてくれとのことでした。
ボクは学者ではなく、まあ、その辺は頑なに自説ではないものを振りかざすつもりはないのでちょいと頭部から頚部にかけて描き直しました。
これがその画像です。

Amarugasaurs-b.jpg



従来、鼻腔についてはこの恐竜も目と目の間に空いていて口の近くに鼻の穴を描くことはあまりなかったのですが、この段階の画像はほとんど修正がかからない限り口元に持ってきています。
まあ、その方が生き物として自然だと言うことと、それぞれ一長一短がある説なので最後は描く者の勝手ですね。
で、この頚部の棘ですが、これはボクの好みで言えばホントは博物館と同じく、露出形なのです。
子供の頃に親しんだ、学研や旺文社の恐竜図鑑に載っている偉い先生のアマルガサウルスはほとんどがこの奇妙な骨飾りを付けていました。
まあ、どっちが正しいとかいう学者さんのご意見とどっちを描きたいという想像の(再現、復元とは図々しくていえない)絵描きの仕事としては、全く異なる、むしろ復元された全身骨格の下にパネルで表示される想像図にどっちが明確な興味を抱くかと言うことでしょうね。
子供は文句なく露出形でしょうね。

Amarugasaurs.jpg



「でも、こういう考え方もあるんだよ」っていうのはお父さんの役目かね。
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全世界古生物はげ頭協会副会長 [仕事の雑記帳]

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ステゴケラス

クラシック音楽界の3大シーボンズ(はげ頭)といえば、アントン・ブルックナー ヤン・シベリウス、イーゴリ・ストラビンスキーあたりだろうと思うけれど(なんちゅう前振りか…)
古生物、特に恐竜界の三大はげ頭は未だ数億年新人の台頭はない。
第1位会長の座は頭骨の厚さが最大25センチに及ぶ石頭であると言われたパキケファロサウルス。
第2位副会長がこのステゴケラスでしょう。
Stegoceras3.jpg

第3位以下は群雄がひしめいております。
最近この石頭(この恐竜は堅頭類と呼ばれる一群を形成しています…そのまんまですね。)達の新たな形状と生態が提唱されています。
現代のCTスキャンにより、骨密度の緊密さが却って壊れやすい構造になっているという説が発表され、有力になりつつあるそうです。
頭骨と頸骨の直線的な繋がり方も却って頭部に受けた衝撃を背骨にダイレクトに伝えてしまうというようなことも言われ始めました。
でもね、収斂進化は様々なところで見られ、山羊の雄同士の角突きやその衝撃を削ぐために頭部と頚部を真っ直ぐにしてぶつかって行く現実があり、数億年の地層の圧力を受けて高密度になりすぎた頭骨にCTを当てて分析したものが必ずしも正しいとはボクは思えないなあ。
科学は素晴らしいけれど、生物の神秘を否定する結論にしてはあまりに実証が少ない。
科学的にどう不思議を分析するかに意味があるし、科学のロマンがあるのだとボクは思うのだけど、進化の一点をスポット的に科学技術を使って観察して結論を導き出すという乱暴を行うのは果たして科学的な姿勢なのだろうかと考えてしまう。
生き物としての美しさは人間が見て醜悪なものの中にも間違いなく存在する。
そこには巧まない天啓の自然さがある。
堅頭類は石頭であって欲しい。
そのイメージは遙かに高い岩山の上で乾いた堅い音を響かせて巨大な角をつき合わせる逞しい雄山羊の姿に人類が生まれる遙か以前に絶滅した恐竜への憧れを載せる全ての子供達や子供の脳みそを持ち続けるボクら大人達のために。


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スコミムス [仕事の雑記帳]

カード用SUCHOMIMUS.jpg
スコミムス テネレンシス


最大の肉食恐竜(但しフィッシュ・イーターだと言われている。)スピノサウルス科に属する白亜紀後期の水辺のハンター。
北アフリカのニジェールで10年かそこら前に発見された。
頭骨から推定される骨格は全長11メートル。
この長い吻部から推測するとスピノサウルスと同じく魚食の恐竜でしょうね。
ティラノサウルスのようにずんぐりして厚い頭骨ではなく、歯自体にも肉を切り取るナイフのようなギザギザはない。
以前タルボサウルスの頭骨を想像図にするための過程を紹介したことがあったが、元の頭骨のイラストがこれ。

Suchomimus-Skull.jpg



それに肉付けするとこうなる。

Suchomimusface.jpg



さらにその後がお仕事になってくる。

カード用SUCHOMIMUS02.jpg

非常に多くの骨格が完全な形で発見された恐竜で、やはり河の側の柔らかい土層に埋まったものだろうね。
当然柔らかいといっても死んだときの状況でそれから石化するんだから柔らかいわけではない。
そして当時の川魚っていうのがこれがまた半端なものではない。
分厚いタイルのような鱗に覆われた丈夫一式のお魚の外皮を咬み裂くだけの鋭い刃と顎の力は必要でしょう。
吻部が長いということは、それだけ重くて口を開ける力が必要となる。
鰐はかみ砕く力は強いけれど、その口を輪ゴムで止められると口が開けられなくなる。
浮力のある水中でこそ生きる武器。
獲物を引っかける前脚のぶっとい爪はスピノサウルス科の特徴。
最近オーストラリアで発見されたオーストラロヴェネターという恐竜にも前脚の第1指に大きな爪があるようだけど、頭骨の再現が難しいね。
データが極端に少ない。
それでも今必要に迫られて何とか期限までにはと思っているけれど、こう円高ではたまりませんね。

カード用SUCHOMIMUS03.jpg

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Dino Bird [仕事の雑記帳]

恐鳥

 

Titanis02.jpg


何年か前、ソニー・ピクチャー・エンタテイメントがE-zetWebとかいろんな携帯会社のウエブで漫画家や様々なジャンルのコンテンツを作って、ケイタイサイトに参入したことがありました。
その中でボクの画像を使ったサイトを立ち上げるのでソニー・ピクチャー・エンタテイメントの会議室でデザイナーと先方の担当者が集まって企画会議をやったことがありました。
その際、先方のチーフがボクが昔一枚だけ描いていた恐鳥類を取りだしてきて、これが好きなんです。と言われたことがあります。
自分でも忘れているほど昔の画像で、その完成度の低さから首筋にブワッと汗が噴きでましたね。
よくもそんな画像を持っているもんだとボクは感心するやら恥ずかしいやらでした。
まあ、携帯の画像ですから小さいわけで、今回のi-Padのように最終的に原画サイズまで自由にブロウアップ出来る機能もなかったもので、その画像は加筆し、クリーニングして提供しましたが、やっぱり止めときゃ良かったと今でも後悔しています。
この企画は何年か続きましたが、いつのまにやら終わってしまいました。
ソニーさんとはそれ以来お仕事はしてませんが、企画部から毎年変わった年賀状をいただき楽しんでいます。
で、その時描いていた恐鳥類というのは『ティタニス』という名の恐竜絶滅後南米でニッチ(食物連鎖)の頂点に位置する捕食動物として、当時台頭してきた哺乳類と覇を競ったようです。
300万年前から40万年前まで生きていたろうと言われています。
体長2メートル50センチ。
でかい頭。
鷲のように尖って湾曲した嘴。

Titanis01.jpg


強力な爪を持つ小さな翼は飛ぶことは出来ないけれど、強靱な二本足でめちゃくちゃ早く走れたようです。
走鳥類と言われています。
当時逃げ切れる陸棲の動物はいなかったろうと言われています。
上野の科学博物館には『ディアトリマ』(ガストルニスという学名を付けられたものと同じで年代が新しいので無効名とも言われているようですが)の骨格標本がありますが、それよりも30センチほど大きい鳥でした。

Diatryma01.jpg 
ディアトリマ


現代の名古屋コーチンまで、ちぢみに縮んだんですねえ。
向こうが『うまそう』という感想を持つかも知れませんが、この鳥を見て、太股辺りのフライドチキンを想像するのはかなり腹が減ってないと無理でしょうけれど、まあ、鶏もよく見るとそうなのですが、かわいげってものがあんまりないですね。
でも、結局自分と同じ大きさの哺乳類とは互角に戦えても、遙かに小さくゲリラ戦法で卵を狙ってくる小型の哺乳類にやられてしまいます。
子孫を残すことが出来なかったと言うことですね。


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地味ですが……… [仕事の雑記帳]

カマラサウルス
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標題の通り、恐竜の中でも竜脚類というのはやたらでかいのが多くて、ブログ向きではないようです。
それでも基本中の基本で、しかもでかい動物は他のプレデターに襲われにくいので派手な模様や虚仮威しの体色を発達させる必要がないのが常です。
縞柄の象なんていないでしょ?
ヒョウ柄のサイとか、水玉のカバとか…いればそれなりに楽しいですけどね。
で、陸棲の恐竜として頭抜けた大きさになっていた竜脚類というのも地味で実質一点張り。頑迷なる巨人ですね。
ただ、このカマラサウルスという恐竜は竜脚類の中ではそんなに大きくない方で、18メートルほどで、首も長くなくて、比較的柔軟な運動性を持っていたということです。
某日本の恐竜学者(もともとそういうジャンルの学者がいるわけではなく、この方も当然他のものを研究しているのでしょうが)は自説で竜脚類の頭部は水平以上に上がるものが少なかったという説得力のある説を採っています。
ただ、この恐竜についてはそういっているのかよく知りません。
比較的首が短く柔軟に動いたようですから少々首を持ち上げても脱臼なんかしなかったんでしょうねえ。
この恐竜の頭部は大きいのですが軽量化が図られていて、頸椎にあまり負担がかからない構造でした。
昔、ブロントサウルスと言われていた恐竜がいて、園田光慶(貸本屋時代はありかわ栄一)さんのマンガでネッシーって言う名前でちょっと人気があったのですが、それはブロントサウルスと呼ばれておりました。
実写のテレビ版にも成りました。確か、『恐竜王子』とかいったっけ。

CAMARASAURUS.jpg


でも、このブロントサウルスって言うのは、ディプロドクスという大型の竜脚類(有名なのは鉄鋼王の小種名がついたディプロドクス・カーネギイ)胴体にカマラサウルスの頭部をくっつけた代物だったのです。
この力業はどなたがやったのか、それとも純粋に学問的に間違えたのか判りませんが、長きに亘って名前が知られておりました。
まあ、胴体見つけた人は頭が見つかるまで待ってられなかったんですねえ。

とにかく、地味ですが、それなりの大きさであったらしいですよこの大将。

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巷のiPad。20種類の恐竜画像のフリーダウンロードのソフトが出るようです。画面が大きいので結構緻密な仕上がりが再現できそうで楽しみです。
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最後の角竜 [仕事の雑記帳]

最後の角竜

Tricera01.jpg



子供の頃から好きだった恐竜。
それはティラノサウルスではなく、三本の角を持つ周飾頭亜目角竜類の完成形。
トリケラトプス・ホリダス
最後の角竜にして最大最重。
アメリカとカナダで大量の骨格が発見されており、群れで行動していたことが定説となっている。
同時期の白亜紀後期のニッチに君臨していたのはご存じティラノサウルス・レックス。
トリケラトプスはその好餌でありつつ、非常に剣呑な餌でもあった。
他の同類が同部を軽量化することによって大きな襟飾りを支えたのとは異なり、彼は頭骨を重量化し、頑丈な頭部と太く、中身の詰まった骨格によってフリルを支えた。
彼らのフリルには軽量化のための穴がなく、重厚である。
ティラノサウルスが重く頑丈な頭骨へと進化した有り様と軌を一にしている。
しかも、彼らはただ草を食べて生きているおとなしいだけの供物ではなかった。
12メートルの体長は壮年のティラノサウルスのそれと十分に拮抗し、いざとなれば暴君に致命傷を与えられる武器を用意していた。


Tricera02.jpg

個体変異が様々異種同類を立てさせたが、いまではただ一種類のみとされている。
守備主体の生き物として、種の進化を必要としなくなった恐竜。
種の保存のために彼らは仲間同士過激な闘争に明け暮れた。
傷ついたものは暴君(ティラノサウルス)への供物。
已むに止まれぬ本能が鉄壁の守備にひびを入れる。
その先に開けた滅びから生まれた新しい生き物の世界。
でもその収斂進化の行き着く先にある現代。
次の命の兆しを宿すべき母なる地球の包容力はもう残り少ない。


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武器を捨てる前 [仕事の雑記帳]

スティラコサウルス(トゲのあるトカゲ)

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ジュラシックパークの第1作から登場している3つの角を持った角竜(つの竜)トリケラトプスは恐竜が絶滅する寸前まで生き残った巨大種だった。
このトゲが沢山あるお兄さんは白亜紀に生き、その後万遍なく時代を生きたように化石が採種されてはいるらしい。
ディズニーのアニメーション映画『ダイナソー』で凄い年寄りとして登場した。全長5メートルほどの恐竜である。
この系列は最終的には鼻の上の角がなくなる種類でセントロサウルス亜科という仲間のかなり古いタイプである。
最終的にはディフェンス主体の草食系で、ゾウやサイに収斂進化を見ることが出来る。
トリケラトプスが武装したまま絶滅の時を迎えたのに対し、この兄さんの末裔は武器らしい武器を全て放棄して静かにこの世界の表舞台から去っていった。
でも、この兄さんは、飾りとは思えない巨大な角を鼻の上に載っけていて、フリルには3対の長く鋭い角を持ち最も威嚇的な姿をしていた。
何代か後、卒然と武器の愚かさを悟ったのか彼の後輩達は次々と角竜の角を捨てていった。
何故なのかはわからない。
一方カスモサウルスの末裔であるトリケラトプスは巨大化し、長大な前方に突き出た威嚇的な二本の角と鼻の上の角で肉食系の恐竜にも互してゆく実力者であったらしいが、滅びるときはやはり同じように滅びる。
敵は角で何とかなる相手ではなかったのだ。
自然の摂理、地球規模を上回る宇宙規模での摂理。
性懲りもなく現代の地球にはその地表に貼り付いて生きている一種類の哺乳類がいる。
彼らは宇宙までその足をのばしながら、その足許の大地のわずかな震動に為すすべもない。
強大な力を持って深化したものも、その力を捨てて守備に徹した生き物も、等しく現代まで足をのばすことはできなかった。
繰り返されてきたことが、聡明なただ一種類の哺乳類に解らないはずはないのだが、彼らは『宗教』という自己の内面を救済する小乗的なスタンスから出ることが叶わず、ただ繰り返されてきた必滅を忘れているかのように暮らしている。
守りに徹するにも決然とした眼差しは必要だ。

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この兄さんと同じように角を捨てた仲間にも不動の眼差しがあったと思いたい。

それを示さない人類に対して今、
地球は怒っている。

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スクスって鰐のこと [仕事の雑記帳]

三畳紀後期(2億2800万年前~1億9900万年前)
まだ恐竜が小さかった頃、さらに小さな哺乳類やのほほんと過ごしているゆるキャラそのものの爬虫類の中で、主竜類(しゅりゅうるい)と呼ばれるトカゲが繁栄する。
その中でひときわ巨大で恐竜と見紛う(『恐竜』の定義に当たるかあたらないかという学者が決めた分類から外れているだけ)体長6メートルのとっつぁんがいた。
恐竜のように四肢が体から垂直に地面に伸び、後脚に重心があるので、二本足でも立つことができたと考えられている。

ポストスクス

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頑丈そのものの頭蓋。
重量もあり、形態的にティラノサウルスのような眼窩の位置から立体視ができたのではと考える学者もいたようです。
実際にはティラノサウルス自体も立体視できたかというと眼窩の位置は顎を支える強烈な筋肉に引っ張られていたという方が正しいようで、また、鼻先まであまりにも長く、目から前の部分が邪魔で獲物との距離を正確に測るフクロウのような理想的な立体視はできなかったと考えられます。
三畳紀後期に一度陸上の爬虫類は壊滅的な死滅をするのですが、天変地異は当時のもの凄く長い年代スパンの中でも間違いなくあったのだから、それもまた地球の年齢から言えば当然起こるべき事だったのでしょうね。
大体人類が現れてから現在までの年月なんて三畳紀のスパンから言えば鼻毛の長さくらいなものですからね。
で、その長い三畳紀の時代、北米の森林で全盛を誇り、食物連鎖の頂点に君臨していたのがこのとっつぁんです。

Postosuchus200602.jpg


体格、凶暴性、戦闘能力の高さ、防御機能の高さ俊敏生それぞれがハイレベルで結合していました。
現在このポストスクスの骨格は非常に精巧なものがあり、誰が描いても似たような顔つきになるのであまり描かないのかも知れません。

Postosuchus2006.jpg



ヤフーの画像でも検索するとボクの昔の作品とこの作品が出てるくらいで、後はBBC放送が製作したWalkingDinosaurという番組のなかのCG 画像が目を引くくらいですね。
BBC放送が1999年に製作したWalkingDinasaurは、強烈な印象を残しました。
NHKは未だに特集でこのフィルムを使っていますね。
ところで、当時同時に子供番組が製作され、Dinosaur Detectivというタイトルで2週間のシリーズで世界各国で放送されましたが、その番組で使用されたイラストはボクのものでした。
ボクの手許にはBBC放送局が送ってくれた数本のデモビデオがあります。
キングス・イングリッシュで何言ってるかほとんど解らないのだけれど、ボクが彼らの放送で画像を幾つ使用しているのか確認するために送ってくれたものでした。
さすがに大英帝国、几帳面でした。
当時のポンド建てでしたから結構良いお仕事だったね。


ところで、ポストスクスを主人公にしたマンガがある。
所十三さんが描いたんだけど、週刊モーニングかなにかでDino2というシリーズの中にあった。
氏の作品は最近は現代性を織り込んでちょとディズニー風に脱皮し、ちょっと荒唐無稽になってきたけれど、しっかりした考古の考察をベースにしていて結構読ますよ。
ただ、しっかりした恐竜学の基礎が話の荒唐無稽さにブレーキをかけるので、ストーリィに結構葛藤の跡がみられますね。
彼の画はボクがイメージするものにすごくよく似たところがあって今でも愛読しています。

DINO2 1―The Lost Creatures (モーニングKCDX)

DINO2 1―The Lost Creatures (モーニングKCDX)

  • 作者: 所 十三
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2003/02/21
  • メディア: コミック

確定申告データ整理のため、ちと休憩いたします。ご訪問が遅れることが予想されます。ご容赦下され。


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昔のトカゲ-陸編4 [仕事の雑記帳]

不自然な巨大肉食恐竜

ギガノトサウルス

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恐竜大好きの子供達にとって、その恐竜が一番大きいというのは凄い魅力である。
かつてサウロファガナクス、エパンテリアス、カルカロドントサウルスなどという聴き慣れない肉食恐竜が登場するまで、ティラノサウルスは最強最大の肉食恐竜として子供達の憧れの中にいた。
ところが、発掘技術が発達し、様々な巨大な肉食恐竜の化石が発掘されるにつれ、大きさという点に関してはティラノサウルスはNo.1ではなくなってきた。
どこの地層で発見され、何種に近い骨格が参照されて復元されたかなどと言う理屈をここで述べようとも思わないし、きわめてニュースソースが限定されるこの分野で詳しい記述をすると畢竟、誰かのレポートに似てくる部分が生まれてきて、やれ著作権の侵害だなどとあらぬ非難を受けることになるのでやめておきますが、ここで取り上げたギガノトサウルスという恐竜は骨格、特に頭骸骨の外側頭窓といわれる頭の一番後ろの穴っぽこが、奇妙に丸くて大きいのです。
これによってギガノトサウルスは20センチがとこ、長くなっており、センチを競う発掘レースで、ちょっとずるしたんじゃないかと言われています。

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ボクは想像図を描く立場から、よく『生き物として自然か不自然か』ということを話すことがあります。
つい最近亡くなった日本画家の重鎮、平山郁夫画伯の息子さんは古代の亀の研究をしている考古学者さんですが、日本では恐竜学の専門家ということになっています。
彼の学説と実証に拠れば、竜脚類といわれる巨大な首の長い草食恐竜の頭部はほぼ垂直に下を向いているというとのことで、それはそれで非常に説得力のある説であることは確かです。
でも、それを絵にするとかつて地球上に存在している動物の中で一二を争うほど不自然な生き物ができあがります。
生き物として自然ではないのです。
昔の動物は現代に生きている動物に生態系は異なっても何処かに通った部分を持っています。
トリケラトプスはサイに似ています。
首の長い恐竜はキリンに似ています。
これを収斂進化といいますが、かつて地球上にその動物の頭部だけが変わった付き方をしていたということは学説としては非常に説得力があっても描いてみると不気味です。
生き物としての自然さがないからです。
どんなに醜い動物であっても、それはそれなりの自然さを持っています。
このティラノサウルスよりも巨大な肉食恐竜といわれるギガノトサウルスもそうでした。
何度描いてもどうしても、他の恐竜のようにイメージが纏まらないのです。
不自然に長い頭部、外側頭窓の異様なでかさ。
この頭骨に肉付けするとおかしくなるのですね。

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で、この画像はプレミアカード用にその不自然さを良心的限界まで繕った結果の作品でした。
有名な恐竜トレカのようにそんなこと気にせずにやれば良いんでしょうけれど、ボクのはかちんかちんの教育用カードとして10年以上変更しなくても通用するようにというコンセプトがありました。
これはある意味商売は二の次みたいなコンセプトです。
それでも、やっぱり売り物ですから販売元はもっとデンジャラスにオーバーに描いて欲しいというのが本音でしょうけれど。(佐伯社長がんこでごめんなさい。)
そんなわけで、ボクは未だにこの恐竜を『よく描けた』と思ったこともありませんし、何度描いても不自然さに落胆します。
処理しようのないこの不自然さは、その化石が本来持っているものでは断じてないと断言できますね。
多くの批判的なルポライターが、学者が指摘するようにこのギガノトサウルスは怪しい巨大肉食恐竜です。
想像図を描くためのもっとも基本的な資料に人為的な手が加わっているのだと思います。

 

 

ジジイのボクが言うのも何だけど、大人って、やだね。(*´Д`)=з

 

 

 

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